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よく聞く病気

2007年01月09日

麻疹(はしか)

 麻疹は「はしか」とも言います。最初、熱を伴う軽い風邪症状が出現し、その後、高熱とともに全身の著しい倦怠感が出現します。
 また、この時期から体に発疹が出ます。発疹の特徴は体を中心とした全身性で、発疹と発疹の間が分からないくらいたくさん出ます。

 この麻疹も一度掛かってしまえば、ウイルスの病気ですので、特効薬はありません。ウイルスに自分の体が打ち勝つまで闘うしかありません。麻疹ウイルスは少数ですが、「病気がよくなってきたかな?」と思われる時期に「脳炎」を起こしたり、体の抵抗性を弱めるので「肺炎」や「髄膜炎」を併発したりすることがあります。

 また、何年も経ってから「進行性の脳炎」を起こすこともあります。ですから、かかるよりかはかからない方がいいのです。そのため、1歳から2歳までと、就学1年前のお子さんに計2回、無料で予防接種を行う施策が行われています。今でもそういった予防接種の施行されていない発展途上国においては麻疹は非常に致死率が高く、恐れられている病気です。

 当然、そういった施策の行われていない国では、ちょっとしたことでは医療の恩恵を受けられないこともあり、脱水などで手後れになるということもあるのかもしれません。けれども、今の日本の状況では予防接種が受けられるし、そういった方法をとることにより予防が可能な病気で、子どもに後遺障害を残すような事態になれば、親としては悔やんでも悔やみきれなくなることでしょう。

 接種券が配付されたら、なるべく早く予防接種を受けておくことをお勧めします。

風疹

 風疹は「三日はしか」とも言われます。はしかよりは症状は軽く、小さい発疹が体を中心に出ます。発疹と発疹の間は離れていて、はしかの発疹とはちょっと違いますし、熱の期間も短いです。そうすると「病気自体は大したことないや!」って感じなのですが、このウイルスは妊婦さんに非常に悪い影響をおよぼします。

 妊娠初期の妊婦さんが風疹にかかると、おなかの赤ちゃんが「先天性風疹症候群」という病気になります。この病気は生まれた赤ちゃんの目が不自由になったり、脳性麻痺になったりしますので、通常の健康な赤ちゃんのように発達することは不可能です。

 この病気は日本で発見されました。沖縄で検診事業に携わっていた医師たちが、ある年代に生まれた障害を持つ子どもたちが同じような症状を示すことに気付き、その原因を探ったところ、その年代の沖縄の妊婦さんたちが一様に風疹にかかっていたことが分かりました。そして、妊婦さんが風疹にかかると、胎児にそういった影響が出ることを突き止めました。

 こういった仕事を医学の世界では「疫学」と言いますが、すばらしい地道な仕事だと思います。話が脇道にそれてしまいましたが、つまり、風疹の予防接種というのは、「うちの子ども」が風疹にかからなくするだけでなく、風疹の流行そのものを根絶させる意味で行われているものです。

 ですから、小児期に全員予防接種することが推奨されているし、小児期に予防接種が不完全な世代においては、男女とも中学生で予防接種が行われていました。

 このように麻疹、風疹、まだほかにもあります(百日咳・ジフテリア・破傷風の三種混合、結核、ポリオ、日本脳炎)が、自治体(国)が無料で予防接種を行っている事業というものには、それなりの意味があります。

水痘(すいとう)

 水痘は、「水疱瘡」とも言います。水疱瘡は軽い熱(中には高い熱の人もいますが)とともに全身いたる所に水を持った水疱ができる病気です。

 症状は軽い人から重い人までさまざまです。感染力が強いので保育園などでは、1人がかかれば大流行になります。ただ、感染はしてしまうけれど概ね予後良好(というのは、かかりはするけど時間がたてば治るし、かかったことによる後遺障害もほとんどない)な病気なので、そう心配することはありません。

 そして今は、この病気に関してはウイルスだけれども、やっつけられる薬もあるので(ウイルスだけれどやっつけられる薬はこの病気とインフルエンザしかないのです)、そんなに恐ろしくありません。ただ、かかってしまえば感染を防ぐために全部のぶつぶつが「かさぶた」になるまで集団生活は出来ません。

 あと、眼の周りなどの皮膚の柔らかい場所に、深いぶつぶつができると、痕に残ることがあります。(その他の場所のぶつぶつは深くても何年かすれば大体消えます)ですから、この病気に対しても予防接種はありますが自費診療になっています。

 自費の度合いは病院によって様々ですが、概ね高い金額に設定されているようです。感染による出席停止が非常に困る場合や、運が悪くて(本当に少数ですよ)あとが残ったら困ると考える人は受けたらいいよ。って感じですかねー。

おたふく風邪

 おたふく風邪の正式名称は「流行性耳下腺炎」です。典型的な場合は発熱を伴い、両側の耳下腺(耳の前、下、うしろ)とあごの下の顎下腺が腫れて、まんまる顔で下膨れの「おたふく」のようになるので、俗に「おたふく風邪」と言われています。
 おたふく風邪にかかると大体治るまでに1週間ほどで、腫れが引くまでは集団生活は出来ません。

 おたふく風邪で困ることは集団生活ができなくなることと、頻度は教科書的には10人に1人の割合で髄膜炎を起こすことがあること、思春期以降の男児がかかってしまうと精巣炎(精子を作る場所の炎症)を起こし、不妊の原因になることが稀ですがあるということです。

 先ほど、髄膜炎の頻度は教科書的には10人に1人と言いましたが、実際に患者さんを診ているとそれほど多くはないと感じます。また、たとえ髄膜炎になったとしても、ウイルス性の髄膜炎なので後遺障害を残すことはほとんどありません。ですからそれほど心配する必要はありません。

 この病気に対する予防接種もありますが、以上のような理由で自費診療です。すなわち受けたい人は受けたらいいし、それほど必要がないと感じる人は受けなくてももいいということです。

りんご病

 りんご病の正式名称は「伝染性紅斑」と言います。ほっぺがりんごのように赤くなり、手足にレース状の模様のような斑点が出ます。このような斑点が出る1週間前くらいに発熱、のど痛、筋肉痛などの風邪症状を起こすことが多いのですが、この時点での診断はまず無理で、「風邪」と診断されることが多いでしょう。

 この病気もごく稀に患者さん本人に血液障害などの症状が出ることがあるものの、軽症で経過することが多い病気です。ただ、妊娠初期の妊婦さんがかかってしまうと、胎児に悪い影響を及ぼすことがあるので、りんご病と診断された場合には、登園停止ではありませんが、むやみやたらと出歩かない方が望ましいでしょう。

異型肺炎

 異型肺炎は学童期に多い病気です。肺炎という名前ですが、熱は大したことはないことが多く(出るときはとても出ますが)、咳が主体の病気です。

 聴診しても胸の音はさほど悪くはないのですが、レントゲン写真を撮ると肺炎像が認められます。「熱が主体ではなく、聴診上ではあまり所見もない、けれどもレントゲンを撮ると肺炎がある、という点で通常のスタンダードな肺炎とはちょっと違うよ」という意味で「異型」肺炎と呼ばれています。

 適切な診断治療がなれてない場合には、咳が1か月以上に及ぶことが多い病気です。

夜尿症について

 「夜尿症」に関しては、だれかれに相談することもできず、苦しんでいるご家族も多いと思います。

 特に年令が大きくなればなるほどそうですよね。ですが、基本的に「夜尿症」は治る病気です。「夜尿症」には大きく分けて3段階の分類があります。

 1つは「精神的な緊張が強くてそうなってしまうもの」、1つは「おしっこを溜めることができなくて出てしまうもの」、1つは「おしっこの出さないホルモンの異常によるもの」です。

 そして、頻度の多いのは先ほどの順番どおりです。つまり「夜尿症」の原因で一番多いのは「精神的な緊張が強くてそうなってしまうもの」で、次に多いのは「膀胱におしっこが溜められなくて出てしまうもの」、頻度は少ないけれど「おしっこの出さないホルモンの異常によるもの」です。

 それぞれの患者さんに対して、日常の水分接種の状況とか、どのくらいおしっこが我慢できるかとか、どのくらいおしっこを溜めることができるか、とか聞いたり、試したりすることでその子どもの「夜尿症」の原因が、どこらへんにあるのかということはおおよその分類が出来ます。

 そして、そのそれぞれに対してそれぞれの薬があります。ですから、あまり家族だけで悩まずある年令を過ぎて「あれ?」って思ったら医療機関に相談されることをお勧めします。

 ただし、寝床からトイレがとても遠いとか、「トイレ」そのものにとても恐い感じとかがあれば、それだけで「夜尿症」の原因になることがあります。

2007年01月10日

溶連菌感染症

 溶連菌感染症とは溶連菌という種類の細菌が のどにくっついて感染を起こす病気です。主な症状はなんといっても「強烈なのどの痛み」でしょう。風邪なので「何となくのどが変な」とか「なんとなく痛いような」とは異なり、水や食べ物がのどを通過するときさえ痛みがあります。

 熱は出ることが多いですが、そう大して熱の出ない子もいます。他には体に細かい赤い発疹の出ることもあります。
 また軽快期には手足の爪の生え際の皮が薄く剥けてくることがあります。それと、これはどうしてかわからないのですが、病気の始めに吐く子どもが多いようです。

 溶連菌感染症の子どもを診察すると、のどが「まっ赤っか」です。その色調は本当に特徴的で多くの場合、診断所見で「溶連菌感染症」だと診断できるほどです。ですが、一応診断が済むまでは(この検査診断に関しては病院によって異なり、15分ほどで一応の診断ができるキットを使う場合と、細菌を育てて確認する場合があります)抗生剤投与で経過観察し、診断が済めば、さらに抗生剤の投与をするのが一般的です。「溶連菌感染症」と診断されれば、10日~14日の抗生剤投与が必要になります。

 それは、「溶連菌」自体は抗生剤ですぐに死んでしまうそんなに強くない細菌なのですが、溶連菌が体に入ってきたことにより、人間の体は「悪いやつがやって来た!」ってことで溶連菌をやっつけるために自分でも「抗体」っていうのを作って溶連菌に対抗しようとします。

 その抗体は溶連菌がいなくなった後にも体に残るのですが、たまたま「溶連菌」の細胞の一部と人間の「腎臓」の細胞の一部の構造が似ているため、人間の体に残った「抗体」はもう細菌はいないけれども、腎臓の細胞を敵と間違えて攻撃してしまいます。

 こうしたことで溶連菌感染症の後に腎炎になることがあるため、早い時期に十分な抗生剤を投与して、あまり抗体がたくさん産生されないようにするのです。

 そして、念のため「溶連菌感染症」後には尿の検査を繰り返し行いますが、適正な抗生剤内服が行われた場合にはほとんど100%腎炎を発症することはありません。

手足口病

 この病気は「溶連菌感染症」と違ってウイルスの病気です。病気の特徴は手、足、口の中、そしてお尻に2mm前後の小発疹ができる病気です。

 ただ、「手足口尻病」では語呂が悪いので「手足口病」って命名したのだとか。(これは本当か嘘かわかりません)発疹はただ赤茶色っぽいのもあれば、ちょっと水をもっているかのように白っぽいのもあります。

 病気そのものは軽いことが多く、子ども自体は元気なことがほとんどです。そしてウイルスの排泄期間(人へ感染する期間)も臨床症状の出現期間(「ぶつぶつ」の出ている期間)よりもはるかに長いため、臨床症状が出現しているときだけ、集団生活を停止しても他児への感染は防げません。

 ですから、熱がなくて、摂食に問題のない状況であれば登園、登校停止の必要はないと考えられています。手足口病のウイルスは1種類ではないので、1回掛かったからといって2度と掛からないということはありません。

ヘルパンギーナ

 ヘルパンギーナも「手足口病」と同じくウイルスの病気です。主な症状は喉のいわゆる「のどちんこ」の腋に小さくぶつぶつができて発熱を伴います。

 熱が高いことと喉が痛くて食欲が落ちることが多いのですが、これまでも再三述べているようにウイルスの病気ですので、決定的な治療(ウイルスそのものをやっつける薬)はなく、痛み止めの飲み薬、塗り薬、熱に対する対処療法で様子をみることになります。

とびひ


 「とびひ」は、皮膚の掻き傷などのところに「細菌」が増殖して膿むことがありますが、その膿んだところを掻いて、その手で他の皮膚を触るとその触ったところに細菌が移っていって、同じように膿んだような傷ができる病気のことです。

 夏場には蚊に咬まれたり、ダニに咬まれたりしたところをあまり清潔でない手で掻きつぶすことによって、細菌が増殖しやすい状態となります。

 これを予防するには、虫に咬まれないようにすることが一番ですが、咬まれてもあまり掻きつぶさないようにする、爪を短くするとか掻きそうな傷は早い時期に傷つけないようカットバンや包帯で軽くカバーするなどが有効でしょう。

 また、そういった傷に細菌が繁殖しないように消毒薬を塗ったり、噴霧しておくなども有効でしょう。子どもさんの体質にもよりますが、本当に医療機関にかかるほどに至るには、お家でできるいろいろなこともある病気です。爪を切るか、汚そうな傷は石鹸できれいに洗って消毒し、カバーするとか日常の清潔習慣を見直してみましょう。

感染性胃腸炎

 おなかの風邪=嘔吐下痢=感染性胃腸炎です。

 この病気はウイルスによるものも細菌によるものもありますが、多くはウイルスによるものです。その病原体によって症状は高熱を伴うものから嘔吐が主体なもの、下痢が主体なものなどさまざまです。

 冬場に多い傾向にあると言われていますが、近年は1年を通してそれなりの流行が見られるようです。まず嘔吐については、少しずつでも水分摂取が可能でそれを吐かない状態なら、なんとか水分摂取量を増やしていくことによって、徐々に改善が得られるでしょう。水分を摂っても吐くという場合には、吐き止めの座薬、注射、点滴などの処置が必要になります。

 このような場合には、「おしっこ」を調べると「おしっこ」の中のケトンという物質が増加していることが多いのです。人間の体は、通常の健康な状態では、糖を摂取するとそれをエネルギーに変えて、体を動かしたり、日常生活をしたりする力に変える工場のようなものが備わっていますが、病気になるとその工場が故障して、別の方法でエネルギーを産生しようとするようになることがあります。その方法ではエネルギー産生の効率も悪く、またエネルギー産生の過程でケトンという物質を生み出し、これが吐き気の原因物質になってしまいます。

 ですから、ケトンが溜まりすぎた場合には点滴でこれを体の外に流してあげないと吐き気などが、改善しない状態になります。これは、大人でもいわゆる「二日酔い」の状態で経験できます。ものすごく飲み過ぎるとお酒は糖分が多いですから、通常の糖の分解工場が機能できなくなり、別の方法でそれを分解しようとしますが、その方法では、先に述べたように効率も悪く、気持ち悪さの原因物質「ケトン」が溜まるので、その日のお酒の飲み過ぎだけでは済まず翌日、まだ再起不能な状態に陥ります。

 そういうことが子どもの体に起こっているということなので、どのくらい気持ち悪いか・・・ってことは、ある程度ご理解いただけるのではないかと思います。

 今頃の若いお父さん、お母さんはそんなに飲むことはないのかな?私はよくわかります。